Alaska – Marc Riboud

(2015)

 


あらゆる驚きが写真家を待ち伏せしている。
驚きは写真家の目を開かせ、視ることへの情熱を持った者の胸をときめかせる。
(マルク・リブー)

マルク・リブーは、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ロバート・キャパらとともに、写真家集団マグナムの一員として世界中を駆け巡り、激動の20世紀をとらえてきたフランスを代表する写真家である。1958年、3年にわたる中東・アジア諸国での取材から戻ったリブーが次に向かったのがアラスカ。はるか以前にゴールドラッシュの熱狂は終焉し、新たな金脈となる石油が未だ地下深くに眠っていた当時のアラスカは、広大な未開の土地であった。あらゆる醜悪なものを消し去る雪、沈黙が支配する大地。リブーは子どものような驚きを持って、白いキャンバスに描かれる点描のようにアラスカの風景をレンズで切り取っていった。この図録は、これまでほとんど発表されることのなかった知られざる名作「Alaska」のシリーズより、厳選した作品を紹介する。マルク・リブーの確かな眼差しと詩情は、写真の持つ本質的な力を再発見させてくれる。


マルク・リブー Marc Riboud

1923年、フランス・リヨン生まれ。14歳の時、父親にもらったカメラで写真を撮りはじめる。第二次大戦中はレジスタンスのメンバーとして反ナチス抵抗運動に参加。その後、リヨンの国立高等工芸学校にて工学を学び、リヨンの工場でエンジニアとして働く。休暇中、リヨンの演劇祭を撮影したのを機に退職し、フリーランスの写真家となる。1953年、マグナムに参加。1957年、初の中国訪問。以降40年以上にわたり断続的に中国を撮影。1958年、来日。”Women of Japan”(テキスト:Christine Arnothy)を出版する。1975年〜78年、マグナムの会長を務める。1980年、マグナムの寄稿家に転向。1966年、1970年には海外記者クラブ賞受賞。ニューヨーク、パリをはじめ世界中で個展が開催されるほか、多くの写真集が出版されている。


著:マーク・リブー
体裁:
ハードカバー&スリップケース・235 x 230 x 201mm

キュレーション:
佐藤正子(コンタクト)

アートディレクションおおうちおさむ(nano/nano graphics)
印刷・製本:凸版印刷株式会社


関連リンク:マルク・リブー写真展『Alaska』(於・Chanel Nexus Hall、2015年)


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